日差しが強くなり、気温が高くなってくると、朝の食卓に向かう足取りが少し重たく感じられる日も増えてくるのではないでしょうか。暑さで体力が落ちているときこそ、朝の時間を豊かにして元気に一日を始めたいところです。

福岡県北九州市戸畑区、JR戸畑駅から歩いて5分ほどの場所にあるパン屋、The 884 Bakeryです。パン職人として生地に向き合い続けて17年ほどになります。毎朝工房に立ち、職人がパンと「会話する」ように生地の声に耳を傾けながら、一つひとつのパンを窯に入れております。「美味しいのは当たり前」という気持ちを胸に、日常の中でパンが主役になるような素敵な食の体験をお届けしたいと考えています。

気温や湿度が高い日本の夏は、パン好きの方にとって少し悩ましい季節でもあります。「買ったばかりの食パンにカビが生えてしまわないか心配」「夏バテ気味の朝はパンが少し喉を通りにくい」「夏休み中のお子さんの朝食作りに追われてしまう」といったお困りごとを耳にすることも少なくありません。

今回は、夏の暮らしに寄り添うパンの扱い方や、暑い時期でも美味しく食べられる工夫、冷凍保存を上手に活用した朝食のアイデアをご紹介します。毎日の暮らしが少しでも軽やかで楽しいものになれば嬉しいです。

食パンのカビ対策と夏の正しい保存方法!冷凍パンを美味しく焼き直すコツ

梅雨から夏にかけての時期は、高温多湿な環境が続くため、常温のままパンを置いておくと傷みやすくなります。特に食パンのカビ対策として夏の保存方法を見直すことは、最後まで風味を落とさずに味わうための基本になります。

多くの方が「傷まないように」と冷蔵庫の野菜室や冷蔵室にパンを入れがちですが、実は冷蔵保存はパンにとってあまり適していません。パンに含まれるデンプンは、0度から4度前後の温度帯で最も老化が進み、水分が抜けてパサパサとした固い食感に変わってしまいます。冷蔵庫に入れておいたパンがパサついて風味が落ちてしまった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

夏場に数日かけてパンを食べるなら、買ってきてすぐに「冷凍保存」をするのが一番のおすすめです。その日のうちに食べきれない分は、乾燥してしまう前に手早く冷凍してしまいましょう。

冷凍保存を上手に行う手順をお伝えします。

  1. 食べるサイズに切り分ける
    食パンなら1枚ずつ、バゲットやフランスパンなら一度に食べる厚みにスライスしておきます。大きな塊のまま凍らせてしまうと、解凍に時間がかかり、水分が均一に戻りにくくなります。

  2. 空気が入らないようにラップでぴったり包む
    パンの表面が空気に触れると、冷凍庫内のにおいが移ったり、乾燥して冷凍焼けを起こしたりします。一切れずつ丁寧にラップで密着させるように包み込むのがポイントです。

  3. ジッパー付きの冷凍保存袋に入れる
    ラップで包んだパンを保存袋に入れ、中の空気をしっかり抜いて封を閉じます。二重にガードすることで、パン本来の水分と香りを閉じ込めることができます。

こうして冷凍したパンを朝食で美味しくいただくには、焼き直し方にも少し工夫があります。冷凍パンをトースターで美味しい焼き方に仕上げる秘訣は、トースターをあらかじめしっかりと温めておく「予熱」と、表面へのわずかな「水分補給」です。

冷たいままのトースターに凍ったパンを入れて加熱を始めると、庫内の温度が上がるまでにパンの水分がどんどん蒸発してしまい、焼き上がりが乾燥して固くなってしまいます。まずトースターのスイッチを入れて庫内を十分に熱くしておきましょう。

食パンを焼く直前に、霧吹きで表面にシュッとひと吹き水を吹きかけるか、濡らしたキッチンペーパーで表面を軽くポンポンとなでてあげると、焼き上がりのもっちり感が格段によみがえります。表面は香ばしくサクッと仕上がり、内側にはしっとりとしたみずみずしさが戻ってきます。厚みのあるパンの場合は、トースターで表面が焦げてしまわないようにアルミホイルをふわっとかぶせて中まで温め、仕上げにホイルを外して焼き色をつけるのも手軽で失敗のない方法です。

ご家庭で手作りパンを楽しまれている方にとっても、夏は少し気をつかう季節かもしれません。室温が高いと生地の温度が上がりやすく、手作りパンが夏に発酵しすぎるときの対策としては、仕込み水をしっかり冷やしておくことや、一次発酵の時間をいつもより短めに見極める工夫が役立ちます。発酵が進みすぎてしまうと、焼き上がりのパンに酸味が出てしまったり、キメが粗くなってしまったりすることがあるためです。

パンが持つ繊細な水分と風味を守りながら、いつでも焼きたてに近い味わいを楽しんでみてください。

夏の朝を心地よく迎える!暑い時期でも食べやすいパンのアイデア

「朝起きても体が重くて食欲がわかない」「なんとなく喉を通らない」という夏バテの朝食でも、パンをほんの少し工夫するだけで驚くほど食べやすい一皿に仕上がります。

夏の朝におすすめしたいのが、酸味や水分を上手に取り入れた爽やかな組み合わせです。たとえば、こんがりと香ばしくトーストしたフランスパンやバゲットの上に、角切りにした完熟トマトとちぎった大葉、ほんの少しの塩と良質なオリーブオイルを和えたものをたっぷりのせてみてください。ブルスケッタ風に仕立てることで、トマトのジューシーな果汁がパンにしみこみ、乾いた口の中でもすっきりと美味しくいただけます。大葉の爽やかな香りが食欲を心地よく刺激してくれるのも嬉しいところです。

また、冷やして美味しいパンをおすすめしたいシーンもたくさんあります。通常、パン生地自体を冷やすと固くなりやすいのですが、クリームパンやサンドイッチなどは、夏ならではのひんやりした楽しみ方ができます。

The 884 Bakeryでも定番として焼き上げているような、なめらかなカスタードが詰まったクリームパンは、お買い上げの当日に冷蔵庫で少しだけ冷やしてから召し上がってみてください。冷やすことでクリームが引き締まり、まるで上質な冷製スイーツのような味わいに変化します。パン生地の素朴な甘みと、ひんやりとしたクリームの濃厚なコクが口いっぱいに広がり、暑い日の特別なおやつにもぴったりです。

サンドイッチなら、シャキシャキとしたきゅうりやレタス、薄くスライスした玉ねぎとハムを挟んだ王道の具材に、レモン果汁をキュッと絞ったマヨネーズを合わせるのがおすすめです。酸味が効いているため重たさを感じず、冷たい麦茶やアイスティーと一緒にさっぱりと楽しめます。

もし「朝は糖質やカロリーが気になる」「軽やかに食事を済ませたい」という方であれば、低糖質パンを朝食に取り入れたダイエットの工夫として、たっぷりのアボカドや蒸し鶏、ゆで卵を添えて良質なたんぱく質と一緒にバランスよく召し上がるのも心地よい習慣になるはずです。

また、ご家庭に小さなお子さんがいらっしゃる場合、離乳食の進み具合に合わせて米粉パンを離乳食の後期にレンジで軽く温めて与えるお母さん・お父さんも増えています。米粉のパンは水分を含ませて電子レンジで数秒ほど温めると、ふんわりやわらかくなり、手づかみ食べにも重宝します。ご家族それぞれの体調や年代に合わせたパンの選択肢を知っておくと、夏の朝食作りがずっと楽になります。

夏休みの朝食やおやつにぴったり!家族で楽しむアレンジと冷やして美味しいパンの楽しみ方

長い夏休みに入ると、毎日のお子さんのご飯作りに頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。「夏休みの朝食に、簡単でパンを使った子供が喜ぶメニューはないかしら」という声は毎年のようにお聞きします。

そこでおすすめしたいのが、前の晩や時間があるときに仕込んでおけるアイデアです。フレンチトーストを冷凍して作り置きしておけば、忙しい朝でもフライパンやトースターで手軽に温めるだけで、まるでカフェのような朝食が完成します。

卵と牛乳、ほんの少しの甘みを混ぜ合わせた卵液に、厚切りの食パンやバゲットをしっかりと浸します。中までじっくり液がしみこんだら、1食分ずつラップで包んで保存袋に入れ、そのまま冷凍庫へ入れておくだけです。焼くときは、凍ったまま弱火のフライパンにバターを溶かしてフタをし、じっくり蒸し焼きにすると、ふっくらスフレのように仕上がります。バナナやブルーベリーなどのフルーツを添えれば、お子さんも笑顔になる華やかなプレートになります。

また、夏のアウトドアや休日のブランチとして、BBQの朝食にパンを網焼きするレシピも格別の美味しさです。炭火の網の上でフランスパンやベーグル、ミニクロワッサンを軽くあぶると、炭火ならではの香ばしさが加わり、外側はパリッと、中はふんわりとした食感に焼き上がります。香ばしく炙ったパンにウインナーや焼き野菜を挟むだけで、特別な道具がなくてもごちそう感がぐっと増します。

The 884 Bakeryでは、香ばしいフランスパンやジューシーな具材のサンドイッチ、もっちりとしたベーグル、お子さんにも人気のメロンパンやミニクロワッサン、さらに北九州でも親しまれている明太フランスなど、毎日の食卓を彩るパンを豊富にご用意しております。朝食にはもちろん、おやつや休日のブランチにも寄り添えるパンばかりです。

当店では、ふらりと立ち寄ってくださるお客様との出会いを大切にしながら、さりげない心地よい接客を心がけております。JR戸畑駅から徒歩5分ほどの場所にございますので、お近くにいらした際はぜひ焼きたての香りに包まれにお立ち寄りくださいね。

暑い季節だからこそ、工夫次第でパンの楽しみ方は何倍にも広がります。お気に入りのパンを手にとって、夏の爽やかな朝のひとときを心地よくお過ごしいただければ幸いです。